長く甘い夜

 

「本当、いつ来ても立派なマンションに住んでるね」

 

 

「親が過保護すぎるんですって。それに住んでるのは7階ですよ?」

 

 

このマンションは40階建てのマンション。7階なんて上の階に住む人たちに比べれば家賃は安い方。

 

 

それに私は親が一人娘の一人暮らしは危ないって言うからここに住んでいるだけ。

 

 

 

エレベーターの扉が開き、7階のボタンを押す。

 

 

「沙菜…」

 

 

 

エレベーターの扉が閉まると同時に村岡さんは私に近づき唇を重なる。

 

 

 

「んっ…ふ、」

 

 

彼の唇は首筋へと下りていく。

 

 

 

「だ、めです…人が途中で乗ったら…」

 

 

 

「大丈夫。ロビーから乗ってきたのは俺たちだけだし」

 

 

 

そう言って村岡さんが私の首筋に唇を落とした時だった───

 

 

 

 

4階でエレベーターが止まって、扉が開いた。

 

 

扉が完全に開く前に村岡さんは私から離れた。

 

 

 

私は見られたんじゃないかと心臓がバクバクと鳴っている。

 

 

 

乗ってきたスーツ姿の男はネクタイを緩めながら、とくに気にした様子もなく36階のボタンを押した。

 

 

 

「(…よかった、気づいてない)」

 

 

 

でも、この人なんで…4階から乗ってきたの?

 

 

不審に思いながら私の住む7階でエレベーターが止まり、扉が開く。

 

 

 

私は乗ってきたスーツ姿の男を気にしながら村岡さんとエレベーターから降りた。

 

 

 

そのまま私の家に入り村岡さんはソファーで寛ぎ、私は夕食の準備をする。

 

 

それから村岡さんと私の作ったクリームコロッケがメインの夕食を食べて。

 

 

 

「今度は邪魔者はいないね」

 

 

 

 

彼の深い口付けと共に長く甘い夜が始まる──…
──────
────────……

 

 

 

次の日朝起きるとベッドの隣には村岡さんはいない。

 

 

村岡さんは必ず私が深い眠りにつくと静かに帰って行く。

 

 

シーツに触れれば、昨日まで隣にあった温もりはもう無くなっている。

 

 

 

「寒…」

 

 

ゆっくり起き上がり、床に落ちてた服に腕を通す。

 

 

村岡さんに会えた日は一緒にいられて幸せな気持ちなる。

 

 

でも、次の日にはぽっかりと心に穴が空いた気分。

 

 

 

「ご飯食べて仕事行く支度しよ…」

 

 

 

そうは言うものの昨日の夜の疲れから朝から色々作れる力なんてない。

 

 

パンを焼いて、コーンスープを用意してニュースを観ながら朝食を済ませた。

 

 

 

それから仕事へ行く準備を済ませて、家を出た。

 

 

そして、エレベーターの前まで来て下へ行くボタンを押した。